「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」という本を読んだので感想.
金子勇については多くの記事があるので, 気になる人は以下の記事などを読んでみてください.
感想
この本は2004年から2011年の約7年間に渡って行われたWinny裁判についての本である.
この本の中で金子勇という人物の人物像や経歴, 思想などが垣間見えたが, 本当に優秀なプログラマーだったんだなぁ と思うと同時に, こんなに優秀な人間を日本のおかしな司法が潰してしまったのかと悲しくなってしまった.
家宅捜索から事情聴取, 裁判中にいたるまで如何にに京都府警と京都地裁が狡い手を使い, 金子勇を罪人と陥れようとしていたのが見えて胸糞が悪かった. 日本の刑事裁判の起訴後有罪率は99.9%と言われているが, この数字はこのような異常な取り調べによるものなんだなだとしたら日本の司法制度は相当狂っていると感じた.
また, 本書は裁判やその周辺について時系列順で語っているのだが, その中で金子勇が裁判に時間を費やしている中で世間ではiTunesやYouTubeが誕生し, P2PをベースとしたSkypeが誕生し, mixiからTwitterに移行し, と裁判に拘束される彼を余所に時代が流れ, 技術が進歩していくのが残酷だった. もし, 彼がこの7年間を裁判のためではなくコードを書くことに使っていたらどうなっていたかなど誰にもわかりはしないが, 少なくとも今のようなアメリカの後追いをするだけの日本ではなく, ソフトウェアに関するいくつかの分野で最先端をいくような未来があったのかなと思ってみたりした.
このWinny事件もそうだが, この事件にに限らず, 自分が知っている近年の事件でも, 「アラートループ事件」や「Coinhive事件」などがあり, 日本の司法や警察は本当に何も学んでいないんだなと思った.
金子勇が後継の技術者のために7年という時間を費やして戦ってくれたのに, 日本の司法行政は何も変わっていなくて悲しい気持ちと同時に正直諦めの気持ちがある.
また, 日本国内で何かしらの成果物を公開する際, 特にそれが最先端の技術を含む場合には Coinhive事件 と同じ道を辿る可能性がある(逮捕されるかもしれない)ので, 日本国内でコードを書くなら最低限被疑者となった際の権利や原則, それらに関する法律や憲法などは頭に入れておいた方が良いと思った.
日本国内でコードを書いていたらある日突然逮捕されるというのは冗談ではなく本当にありえることだと思うので, 一度上記の記事のどちらかを軽く読んで頭の片隅においておくと実際に逮捕された時に少しは役に立つかも知れません. (逮捕されないのが一番ですが...)
結局「出る杭は打たれる」というのが日本なのだと思った. それと同時に, 本当に優秀な人, 特に新しい技術 の研究開発を行っている人は日本ではなく, 人類のために予算が潤沢で新しい技術などに理解がある(と自分は思っている)米国などで研究開発してほしいという自分の個人的な意見がさらに強くなった.
完走した感想
という感じで「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」を読んだ感想でした.
この本はWinny事件の裁判に対する弁護士側からの視点の本でしたが, コードを書く開発者側の人間としてはWinny自体に興味があったりするので, 本書の中でも言及されていた金子勇が裁判のために書いた本「Winnyの技術」というのがあり, こちらはWinnyのプログラムやそれに使われている技術について書かれているようなのでまた今度読んでみようと思う.
本書及びこのこの裁判は "駄目な司法が天才プログラマーを潰す" という読んでいて気持ちの良いものではないけれど, 日本の情報技術の発展ために戦ってくれた偉大なプログラマーについては少し知っておくべきではないだろうか. 是非興味があったら読んでみてください.
では今日はこのへんで. ではでは〜〜👋👋